更年期女性の方はホルモンバランスが崩れる影響で唾液の分泌が減るためドライマウスになりやすく、歯周病が進行しやすい口腔環境になりがちです。
今回は「更年期女性の口腔ケア」についてお伝えいたします。
そもそも「更年期」にはどういう症状がある?
閉経の前後約10年を更年期と呼びます。日本人女性の閉経は平均で50.5歳と言われており、「1年以上月経がない場合」に閉経と診断されます。平均年齢から考えると、40〜60歳ぐらいの方に更年期の症状が現れる可能性があります。
女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌は20〜30代でピークを迎えますが、その後急激に減少することで、さまざまな身体的・精神的症状が出てくるのが「更年期障害」です。主に以下のような症状が現れます。
女性の閉経前における身体的症状としては、のぼせや顔の火照り、脈が速くなる、動悸や息切れ、異常な発汗、血圧が上下する、耳鳴り、頭痛やめまいなどです。精神的な症状としては、興奮亢進、イライラや不安感、うつ、不眠などです。
閉経後はこれらに加えて、膀胱炎や尿失禁、腰や膝の関節痛、目やのどなどの粘膜の異常などの身体的症状と無気力感などが精神的症状として現れてきます。
男性は機能不全(ED)、女性は生理不順も症状としてみられます。
更年期障害. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-081.html 厚生労働省
更年期にはドライマウスになりやすいので注意が必要
女性ホルモンのエストロゲンには皮膚や粘膜の保護作用・潤い保持作用があります。しかし、加齢に伴いエストロゲンの分泌が減ることで、唾液の調整も乱れドライマウスになりやすくなります。
のどの乾きを訴える方にはドライマウス用の口腔湿潤剤を活用するのがおすすめです。湿潤剤にはジェルタイプ・液体タイプ・スプレータイプなどがあります。
更年期は歯周病にも要注意
女性には人生で歯周病にかかりやすい時期が3回あると言われています。最初は女性ホルモンが大量に分泌される初潮を迎える頃です。次に妊娠時で、妊娠中に女性ホルモンが増加することで歯周病リスクが高まります。そして最後が更年期です。
前述のように更年期の患者さんは唾液の分泌量が減ることや、服用する薬が増えてくることなどが影響してドライマウスになりがちです。また、女性ホルモンが減ることで骨密度が下がり骨粗鬆症になりやすいことは有名ですが、顎の骨も弱くなるので注意が必要です。
まとめ
更年期の女性はドライマウスだけでなく歯周病にも注意が必要です。抜歯の主原因第1位が歯周病であることから、歯周病を防ぐことが患者さん自身の歯を残すための一番の予防策と言えるかもしれません。