日本人の3人に1人はいるといわれる「知覚過敏」。
ご存じのように、知覚過敏の原因としてはオーバーブラッシング、歯ぎしり、歯周病で歯肉退縮が起こることで象牙質が露出するなどがあります。
冬になると水が冷たくなり、熱いものを食べる機会も増えるため、知覚過敏を感じることが多くなります。
知覚過敏は国家試験にも出るくらい基本中の基本ではありますが、今日は改めて知っておきたい「知覚過敏」のことについてお伝えします。
そもそも知覚過敏の原因とは?
知覚過敏の痛みが起こる場所は歯根部の象牙質が露出した部分です。
象牙質が露出する原因は歯肉の退縮ですが、その原因としては主に以下の4つが挙げられます。
1、かみ合わせの異常(歯軋りなど)
2、歯周病の進行
3、誤ったブラッシング(かたい歯ブラシを使う、オーバーブラッシングなど)
4、加齢
象牙質の表面には歯髄に通じる無数の穴(象牙細管)が開いており、外部刺激が伝わりやすくなっています。
歯肉の退縮以外にも、バイオフィルムにより脱灰が起こって象牙細管が露出するケースもあります。
この象牙細管に、
・温度刺激:冷たいもの、熱いもの
・機械刺激:ブラッシングなど
・化学刺激:甘いもの、酸っぱいもの
といった刺激が加わることで神経が刺激され、「しみる」「痛い」といった知覚過敏の症状が発生します。
知覚過敏に有効な2つの成分
知覚過敏に有効なのが、「硝酸カリウム」と「乳酸アルミニウム」の2つの成分です。
この2つの成分には、それぞれ異なる特徴があります。
・硝酸カリウム
神経鈍麻を起こし、“しみる”痛みの伝達を即座にブロックする。
・乳酸アルミニウム
象牙細管の開口部を封鎖し、痛みの原因である刺激をブロックする。
但し、一番大切なことは、ただ知識として知っているだけではなく、知識を活用した上で製品や対策法を患者さんにすすめられるようになることです。
次の章では、患者さんが簡単にできるセルフケア法をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
患者さんが手軽にできるセルフケア
知覚過敏になる理由は患者さんによってさまざまです。
まずは患者さんが知覚過敏になった原因を特定し、患者さんに合った指導をすることが大切です。
ここでは、患者さんが手軽にできるセルフケアを4つご紹介します。
どれも効果的な方法なので、患者さんに合った方法をご紹介ください。
知覚過敏の痛みを防ぐ歯磨剤を使う
当然ですが、痛いからといってブラッシングをおろそかにするとう蝕や歯周病リスクが高まります。
先ほどお話しした硝酸カリウムや乳酸アルミニウムのような「知覚過敏の痛みを防ぐ歯磨剤」を患者さんに使ってもらうのが効果的です。
やわらかい歯ブラシで力をかけずブラッシングする
知覚過敏の原因の一つにオーバーブラッシングがあります。
知覚過敏の患者さんの場合、歯ブラシはやわらかいものを使ってもらい、軽い力で磨くことを指導するのがポイントです。
飲食後には歯磨き・うがいをする
飲食物の食べかすはバイオフィルム成長の原因となり、象牙細管の開口がいっそう進んでしまいます。
そうなると知覚過敏が進行するのはもちろん、う蝕の原因にもなります。
食後はもちろんですが、スポーツドリンクなどの酸性の飲料を摂ったあとにもしっかり歯磨き・うがいをすることを指導します。
冷たい飲食物をできるだけ控える
冷たい飲食物や熱すぎる飲食物は知覚過敏の大敵。
夏場は冷たいもの、冬場は熱いものを飲食したくなりますが、痛みが治まるまでは過度の負荷をかけるのは避けてもらうようにします。
まとめ
知覚過敏は象牙質が露出することに起因します。
「患者さんが知覚過敏になったのはなぜなのか?」をしっかりと特定し、その原因を解消できる指導をすることが大切です。
歯磨きのやり方はもちろん、痛みを防ぐ歯磨剤を紹介するなど、患者さんが手軽にできる方法を提案できると効果テキメンですよ。